寝ないと決めたその日の夜
呆気なく寝てしまい
気づけば次の日の朝だった



朝もやの中の
まだ人もまばらな街に
かばん1つでゆらりと出た



とりあえず駅まで
ふらふらと歩いて行って
駅のコンビニの開店を待って
なんとなく
使い捨てカメラを1つ買った



それから歩いて
ホテルまで戻って




戻って、




気が変わったので素通りした



ふらふらと歩いて
ふらふらと歩いて






行き着いたのは昨日の城だった



昨夜の熱狂が
まるで
夢か何かであったかのように
それは
すっかり静まり返って
朝の静閑さに
すました顔をして溶け込んでいた





コンクリートの城壁に寄りかかって
とりあえず
数枚写真を撮ってみて
それからしばらく
静まり返った
青と銀色を見下ろしていた









あそこの扉を開けて入った


あそこの壁を背にして立った


あそこであの人たちと笑った







あの中で
あの中で


わたしは











カメラを取り落として
足元で鋭い音がした
残響は
行き場をなくして遠く響いた





人が入れば
音吸われて響かなくなるけどね
今いないから
こんだけ響いてるんだよ





昨日の、誰かの言ってたこと




…そうか

人いないんだ























終わってしまったのだ






















朝の冷えた空気が鼻の奥を突いた

通勤路なのか
後ろを通り過ぎていく
人の気配がした

それでなんとなくうつむいたら
その足元は既にぼやけていた





大都会の静かな朝














誰もいなくなったのを
確認してから
多分30分くらいそこで泣いていた





















(AX)